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日本医工学治療学会 第42回 学術大会
大会長 市場 晋吾
(日本大学医学部麻酔科学系 麻酔分野 集中治療室 教授)

 日本医工学治療学会は、医学と工学という異なる学問領域の融合による新しい診断・治療技術の発展と臨床応用を目指して1977年に設立されました。以来40年以上にわたり、医療と工学の境界を超えた革新的な取り組みを続けてまいりました。
 この度、第42回学術大会を2026年6月12日から14日までの3日間、東京の浜松町コンベンションホールにて開催する運びとなりました。本大会では医工学の基本精神そのものでもある「挑戦!」を主題として掲げ、臨床医、臨床工学技士、看護師、医工学研究者、各関連企業が一堂に会し、様々な各種人工臓器をはじめ、人工呼吸療法、血液浄化療法、ECMOや機械的循環補助などの医療機器開発や最新の研究成果と臨床応用例の報告を共有して、医工学の産官学連携を推進します。
 社会的な問題としては、日本は急速に高齢化が進み、2030年には人口の約30.8%、つまり約3人に1人が高齢者となる見込みです。この人口構造の変化は医療システムに大きな課題をもたらしています。65歳以上の高齢者の1人あたり医療費は92万3,400円(2021年度)と全世代平均の約3倍に達しており、国の医療財政を圧迫しています。今後も高齢者人口の増加に伴い、慢性疾患や長期療養が必要なケースが増え続け、年間医療費は2025年に約60兆円、2030年には62兆円を超えると予測されています。こうした課題に対して、医工学分野は革新的な解決策を提供しつつあります。医学と工学の融合領域である医工学は、高齢化社会の医療システムを支える重要な役割を担っています。例えば、遠隔医療やICT技術を活用した在宅医療支援システム、ヘルスケアロボット、AIを活用した診断・治療プロセスの自動化と省力化、ウェアラブル機器によるバイタルサインのモニタリングと早期異常検知、などです。これらは、医療従事者の業務負担軽減と効率化による医療サービスの質の向上、在宅医療の推進による病床不足問題の緩和、予防医療の強化による医療費削減と健康長寿の延伸、高齢者の自立支援技術による介護負担の軽減、などにつながる可能性があります。特に、近年の社会の高齢化や慢性疾患の増加、多様な疾病への対応には、医工連携と多職種によるチーム医療が不可欠となっています。持続可能な医療提供体制の構築には、医工学技術の発展だけでなく、社会制度の改革や国民の健康意識の向上など、多角的な取り組みが必要です。医工学は、これらの取り組みを技術面から強力に支える基盤として、今後さらに重要性を増していくでしょう。
 本大会では、異分野融合によるイノベーションや次世代医療機器の社会実装を加速するための場を提供いたします。特別講演、教育講演、シンポジウム、ワークショップなどの多彩な企画を通じて、基礎と臨床、開発と現場、産官学連携の具体的な事例を多数発信する予定です。
 また、本学会では若手研究者や学生の育成も重視しており、優秀演題発表の表彰や交流の場を積極的に設けることで、次世代を担う人材の発掘・育成にも力を注いでまいります。参加者の皆様が実りある議論と情報交換を通じて、医療現場の課題解決と医療の質向上に貢献できる大会となることを目指しています。
 多くの方のご参加をお待ちしております。
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